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目標管理で、社員が適切な目標を設定するようになる改善策

2026年07月30日

目標管理で、社員が適切な目標を設定するようになる改善策

多くの企業で導入されている目標管理制度(MBO)ですが、「社員の目標設定が甘い」「目標の水準にばらつきが出る」「評価者によって目標の見方が異なる」といった課題に直面するケースは少なくありません。
結果として、評価者研修や考課者訓練の必要性を感じて情報収集を行う人事担当者も増えています。
本稿では、目標管理を形骸化させないために、社員が適切な目標を設定できるようにする具体的な改善策を整理します。

評価者研修・考課者訓練だけでは不十分な理由

評価者研修や考課者訓練は、評価基準の統一や評価エラーの防止、フィードバック力の向上において確かに有効です。
しかし、そもそも設定される目標の質が低ければ、どれだけ評価スキルを高めても人事評価制度全体の精度は上がりません。
目標管理研修でも、「文章の書き方」「SMARTの枠組み」といった個人スキルの習得だけでは限界があります。
重要なのは、個々人の能力に頼るのではなく、「良い目標が自然と生まれやすい仕組み」を組織として整えることです。

経営方針と部門計画の明確化

社員が適切な目標を設定できない大きな要因の一つが、経営方針や部門計画の不明確さです。
上位方針が曖昧なままでは、現場は「何を目指して目標を書けばよいのか」が分かりません。
まずは経営層が中期・単年度の経営方針を言語化し、その方針を前提とした部門方針・部門計画を具体化することが不可欠です。

そのうえで、部門ごとに「重点テーマ」「成果指標」「行動テーマ」を整理し、部門会議やマネジャー会議を通じて共有しておくことで、現場の目標設定の方向性が揃いやすくなります。
評価者研修や考課者訓練を実施するタイミングで、こうした上位方針の整理を並行して行うと、研修で学ぶ目標管理の考え方と、日々のマネジメントがつながりやすくなります。

目標事例集の作成と共有

「良い目標」「悪い目標」のイメージが組織内で共有されていないことも、目標の質が安定しない大きな要因です。
そこで有効なのが、目標事例集(サンプル集)の作成と全社展開です。

職種別・等級別に、実際の業務を想定した具体的な目標例を整理し、「望ましい表現」「避けたい表現」を併記しておくと、社員は自分の目標をイメージしやすくなります。
たとえば、営業職であれば「売上」「粗利」「案件数」、管理部門であれば「業務改善」「品質向上」「リードタイム短縮」など、職種ごとの典型的な指標を踏まえた事例を示すことが有効です。

こうした事例集は、目標管理研修で配布するテキストとしても活用でき、研修後に現場で迷ったときの「参照用テンプレート」として機能します。
評価者側にとっても、部下の目標をチェックする際の共通物差しとなるため、考課者訓練の実践的な補完にもなります。

全員の目標一覧化による透明性の向上

もう一つの有効策が、全社員(少なくとも同一部門内)の目標を一覧化し、マネジャー層や評価者同士で共有する仕組みを設けることです。これにより、目標の粒度や難易度のばらつきが可視化され、相対的な妥当性を確認しやすくなります。

たとえば、同じ等級・同じ役割の社員の目標を並べて見たときに、「極端に軽い」「逆に重すぎる」といった目標があれば、評価者同士で事前に調整することが可能です。また、目標一覧は、目標管理の進捗会議や評価者研修のケースとしても活用でき、評価者間の目線合わせや評価の納得性向上にもつながります。

目標設定プロセスの見直しと対話の組み込み

目標管理を形骸化させないためには、「一人で書いて、上司が承認して終わり」というプロセスから、「対話を通じてすり合わせるプロセス」への転換も重要です。
たとえば、期初の目標設定時に、上司と部下で1on1の場を設け、経営方針・部門計画を踏まえて目標の方向性をすり合わせるステップを標準プロセスとして組み込む方法が考えられます。

また、期中に目標の進捗を確認するミニ面談や、期末前の振り返り面談を設定することで、目標設定が単なる「書類作成」ではなく、「対話を通じた育成プロセス」として機能しやすくなります。
こうしたプロセス設計は、評価者研修で扱うフィードバックスキルや1on1スキルとも親和性が高く、研修内容の定着にもつながります。

評価者研修と仕組み改革の両輪で運用する

最終的に重要なのは、評価者研修・考課者訓練と制度設計の改善を両輪で進めることです。
研修だけに頼るのではなく、経営方針の明確化、部門計画の具体化、目標事例集の整備、目標一覧の可視化、目標設定プロセスへの対話の組み込みといった仕組みを整えることで、社員は自然と適切な目標を設定できるようになります。

目標管理制度を形骸化させないためには、評価スキルの強化と同時に、「良い目標が生まれる環境づくり」が不可欠です。
もし自社で評価のばらつきや目標設定の質に課題を感じている場合は、評価者研修や考課者訓練の見直しとあわせて、目標管理制度全体の再設計を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・筆者

岡野 隆宏
岡野 隆宏人材開発部 マネジャー

広告会社、研修会社にて人事・教育に関する実務を担当。
その経験を基に、現在は「社員のモチベーション向上」をテーマとして主に中堅・中小企業の組織・人材開発を展開中。クライアント企業に対する研修のみならず、外部団体での講演も精力的に行っており、受講者からは「わかりやすく、現場経験に基づいた話に説得力、納得感がある」と定評がある。

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